父の日:父の記憶-父への思い

父の記憶。
うっすらぼんやり…は、たぶん1歳のとき
借家の外で、父が会社の車に大きな犬を乗せて帰宅した。
母がなんだか嫌がったか文句を言ったような気がする。

次の記憶が4歳くらい。
はっきり記憶している。
父が私の住んでいる四谷のアパートに来た。
買って来てくれたお菓子の箱に書いてあったNABISCOの
文字を私が読んだ。『ナビスコ』と。
それをみた父が、私を英語が読める天才だ!と大げさに褒めた。

読んだのではなく、テレビCMでそれがナビスコのクラッカーだと
知っていたまでのこと。天才だと騒ぐ父の姿に申し訳なさを感じた。

次の記憶は、何歳だかわからない、4歳~8歳までの間のどこか。
電車に乗っていた。2人で。
常磐線か、千代田線か…なんか青緑っぽい色を覚えてる。
それが何の色なのかは記憶していないけど。

長い長いトンネルの中にいた。
父が私に何かを問いかけるが、なんだったか
覚えていない。トンネルの音で聞こえなかったのか
聞こえてても返事ができなかったか。
なんか、うまく会話が進まなかったのを覚えている。
でも、その時間がとっても幸せだったのを覚えている。
その日だったか、別の日だったかわからないけど
ヒモに通された5円だか50円だかをたくさんくれた^^

次の記憶は10歳。もしかしたら11歳。
本郷通りを歩いている。もしかしたら
母も一緒だったかもしれない。
父が私の住む、文京区のアパートに来てくれた帰り道。
この日だったか、違う日だったか、私に腕時計を
買ってくれた。ついこの前も家の中のどこかでその時計…
みたな。どこにあったかな。

その後の記憶はあまり無い。
最後が中学3年生の2月か3月。
入学する高校が決まったと連絡が母から入ったのだろう。
父が私の住んでいるアパートに来た。
祖父を連れてきた。
それが私の記憶の中での、初めての祖父。
ハジメマシテ…と言いたかったか、言ったんだったか。

父が、「おじいちゃんが高校のお金を出してくれたよ」
と教えてくれて、お礼を言ったかと思う。
祖父は当時の私をどう思ったのか…最後まで知らない。

父とはこの後から現在まで、一度も会っていない。

その代わり、祖父とは何度か会うようになった。
祖父と初めて会ったのが1986年の2月か3月。
祖父が亡くなったのが、2000年5月。
14年の間で、20回会ったかどうか…。
覚えていないが、祖父は厳格で近寄りがたかった。
でも、祖父は確実に私を愛してくれていた。
私のことを思ってくれていた。
それに私は応えられなかった。
亡くなって12年。
今でも応えられなかった自分を不甲斐なく思い、
悔しくて泣けてくる。

父は、あの日を最後にいなくなった。
祖父が亡くなるまで、行方不明となった。
父は私を愛してくれたことがあったのだろうか。
時計を買ってくれたり、小銭をくれたり
あれは父の愛だろうか。父の意思だったろうか。
わからない。

父は私をどう思っているだろうか。
2002年4月、結婚するときに祖父の家に住んでいた父に
招待状を出した。出したのは母だけど。

私は結婚した後、祖父の仏前に報告したいとして
アポ無しで、父の住む祖父の家に行った。
知らない女性が出てきて門前払いだったけど。
父はあの時たぶん家にいた。

父は私をどう思っているだろう。
少なくとも、私は祖父が亡くなるまでは
父が好きだった。父としての記憶は少ないけれど
父が好きだった。私は母よりも父にいろいろなところが似ているから。
自分で自分の中の父を感じることができるから。

でも父は今、私をどう思っているのだろう。
祖父の、または父の財産を狙いに来るとでも考えて
身構えて遠ざけようとしているのだろうか。

そんな気はさらさらない。
財産はもちろん受けない。借金も当然受けない。
今は彼にかかわりたくない。

私が祖父が亡くなったのを知らずに祖父に電話したとき
その電話に出たのは父だった。そんなことはずっと後に
知ったことだけど。
父は私が名乗ったのに、自分が父だとは名乗らなかった。
最後まで他人のふりで応対をした。
祖父が亡くなったこともそこでは言わなかった。
旅行に行ってしばらく帰らない…と言った。
祖父が亡くなったことを私に知られてはまずい事情が
あったのだろうか。
あったのだろう、いろいろあったのだろう。
私はそれからまた1ヶ月以上、祖父が旅行から帰るのを
待ち続けた。アホな私だ。父は私を騙せてしてやったりだと
思っていたことだろう。
私を騙した父に言いようの無い怒りを感じる。


夫が実父と、手紙や電話で良い関係を築いていっているのを
見るときに、うらやましい気持ちがある。
父親ってなんだろう。父ってどんなものだろう。
うちに子供がいないので、うちの中でも父という存在を
見ることはできない。私自身が父と生活したことがないので
父がどういうものなのかは知らない。

けど、私は今は父は要らない。
彼が私を必要としていないから。
彼は私を近づけようとはしない。
私も近づきたくは無い。
でも、祖父とはずっと繋がっていたい。
そのために父が邪魔で仕方ない。
仮に父がこの世での生涯を終えたとしても、
彼に対して私は何もしないかもしれない。
でも、祖父とずっとつながっているためには、
父に対しても何かしなくてはいけないのだろうと思う。
でも今は父に対して、憎悪しか抱いていないので無理だ。

父の日。
そんなものは最初から私には存在しない。
でも夫には、お父さんに何かしてあげたらいいと言ってあげたい。
せっかくいい関係を築いていっているから。
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by suraimuyasroom | 2012-06-17 03:24 | 家・家族